新京成8900形は、1993年から1996年にかけて製造された新京成では初のオールステンレス車が特徴の形式です。
そしてもう一つ、8900形では旅客向けのサービス向上の一環として、同じく新京成で初めて自動放送やドア上のLED案内表示機が導入された形式でもあります。
8900形の自動放送は、水谷ケイコ氏が担当していましたが、同氏の放送は2020年までに他形式で既に導入されていた三浦七緒子氏の放送に更新されているため、現在では聞くことはできません。
そんな水谷ケイコ氏時代の自動放送ですが、最初期の頃と、放送が消滅しかけていた近年では、放送文面が大きく異なっています。
そこでこの記事では、最初期と晩年?の放送の比較を交えながら紹介してみたいと思います。
Table of Contents
放送文面の新旧比較
流石にすべてをダラダラと書くのも手間なので、パーツごとに区切って新旧を比較してみたいと思います。右側が旧放送、左側が新放送です。
他社接続駅の出発後の放送
本日は、新京成電車をご利用いただきましてありがとうございます。この電車は [行き先] 行きです。 | 新京成をご利用いただきましてありがとうございます。この電車は [行き先] 行きです。 |
※始発駅発車後には、「大変お待たせいたしました」という文面が追加されます。
次駅放送(次は〇〇)
次は [駅名]、[駅名] でございます。 | 次は [駅名]、[駅名] です。 |
次駅放送(まもなく〇〇)
まもなく [駅名]、[駅名] でございます。 | まもなく [駅名]、[駅名] です。 |
※次駅が終着駅の場合は、「ご乗車、お疲れさまでした」という文面が追加されます。
ドア開閉案内
お出口は、[左 / 右] 側でございます。 | お出口は、[左 / 右] 側です。 |
乗換案内
[路線名] 線 ご利用のお客様は、お乗り換えです。(お忘れ物の無いようご注意ください。) | [路線名] 線 ご利用のお客様は、お乗り換えです。(お忘れ物の無いようご注意ください。) |
※括弧部の忘れ物に関する文面は、次駅放送(まもなく〇〇)の後のみで放送されます。次駅放送(次は〇〇)の後ではカットされます。
※括弧部の忘れ物に関する文面において、次駅が終着駅の場合は、文面の先頭に「どなた様も」が追加されます。
その他の文面の差異
細かい部分ですが、一応掲載してみます。営団と千葉急行線が関連する文面は、最初期の音源が見つけられなかったため、未検証です。
旧 | 新 |
東武野田線 | 東武線 |
北総・公団線 | 北総線 |
(存在しない) | 成田スカイアクセス線 |
JR常磐線 (我孫子・取手方面 / 上野・営団地下鉄 千代田線方面) | JR常磐線 (我孫子・取手方面 / 上野・地下鉄 千代田線方面) |
東葉高速線 (東葉勝田台 / 西船橋・営団地下鉄 東西線方面) | 東葉高速線 (東葉勝田台 / 西船橋・地下鉄 東西線方面) |
京成線 (上野・押上・都営地下鉄線方面 / 成田空港・千葉急行線方面) | 京成線 (京成上野・押上・都営地下鉄線方面 / 成田空港・ちはら台方面) |
※くぬぎ山~鎌ヶ谷大仏間の高架化により、北初富・新鎌ヶ谷のドア開閉案内の向きが変更されるという差異もあります。
※8900形の自動放送には、車掌が任意で再生できる啓発放送が存在しますが、その文面の変化は不明です。
※京成線の乗換案内の文面にある「京成上野」は更新間際に変更された文面です。そのためか、旧「上野」の部分は三浦七緒子氏の音源に置き換える形で変更されてます。
イントネーションや声調の変化
この放送は導入時期から新放送の更新まで、同じ声優が20年以上採用されています。そのため、旧放送と新放送で、駅名連呼でのイントネーションが変化していたり、全体的な声のトーンが新放送のほうが暗い感じになっているなど、若干の差があります。おそらく、一度全てのパーツを再収録したものと考えられます。
実際に当時の音源を聞いてみよう!
「新京成電鉄のすべて」(JVAT / 1997年) で確認することができます。ビデオでは、当時最新鋭だった8900形を中心に新京成の日常が撮影されており、車内で撮影された前面展望や風景から自動放送をかすかに聞き取ることができます。
このビデオは、VHSで発売されたもので、現在では入手困難と思われますが、YouTubeにアップロードしている方がおられましたので、掲載しておきます。(なお、作者の許諾は得られていないものだと思われます。)
動画は3つのパートに分けられており、パート2で当時の8900形の車内放送を聞くことができます。
また、車内放送の他、駅の自動放送も萩原えみこ氏時代よりも1世代前の放送が使用されているなど、大変価値のある映像だと思います。
おまけ
8900形の放送を架空トレインビジョンを組み合わせた誰得動画をうpしています。完全にネタですが、お楽しみください。なお、この動画で使用している放送は水谷ケイコ氏時代の新放送です。